東北六県の民家…(3)『遠野の家』 旧菊池家住宅(岩手県)     次へ
【様式:内馬屋式曲り屋】
 母屋の土間「にわ」に馬屋がLの字型に突き出た建物で「南部曲り屋」と呼ばれる。同じ屋根の下で、馬と
一緒に生活していました。
丁度、「民話を聞く会」が開催されていました。 曲り屋の建物を横から。
遠野…民話の世界
『おしらさま』「遠野物語」で柳田國男が紹介した為に有名になり、今では語り部のレパートリーにも入っているので
皆さんもご存知かと思います。「幸せのお知らせ」が語源とも言われていますが養蚕の神様で、馬の顔型の棒と女
性の顔型の棒に布切れを貫通させています。

  むかし、ある山の村に貧しい百姓夫婦には目の中に入れても痛くない可愛い娘がいました。そこでは葦毛の馬
を一頭飼っていて大事に育てていましたが娘が一番可愛がったのはこの馬でした。その娘は美しい娘に育ってき
ました。縁談がきましたが、娘は首を縦にふりませんでした。
ある日そっと馬屋を覗くと、娘と馬は夜も一緒に寝るようになっていました。
 怒った父親は、次の日、娘に用事を言いつけ外出させると、馬を大きな桑の木に吊し桑の棒で叩き殺し皮を剥い
で桑の木にかけておきました。
そこに娘が戻ってきて、馬の哀れな姿を見つけ桑の木のところに走って行きました。すると桑の木にかけられた馬
の皮が娘を包み込むと天へ昇って行ってしまいました。娘まで失って悲しんでいる夫婦。ある夜、枕元に娘が立っ
て「馬屋の土間に置いた臼の中に馬の頭の形をした虫がいっぱい入っているので、その虫を馬を殺したクワの木
の葉で育てると、マユをつくって絹糸をこしらえる。糸は高く売れるからそれで幸せに暮らして欲しい。そして、桑の
枝で娘の人形と馬の顔をした人形とを二つこしらえて布を着せて神さまとして祭って欲しい。」といって消えてしまい
ました。娘のいった通りにすると、カイコはよく育ち、二人は幸せに暮らすことができました。
東北の民家TOPへ戻る