■ 二木の松(武隈(たけくま)の松) 岩沼市
 新暦6月20日、岩沼市の北の名取市笠島に実方の墓を求めたが雨にあい遠く眺め岩沼に戻った。竹駒神社の近く
にある『武隈(たけくま)の松』にたどりついた。ここ岩沼に宿を取る。
この松は、根元から二股に分かれていることから『二木の松』とも呼ばれている。
  
 武隈の松を見て目が覚めるような気がする。根は土の生え際から2本に別れていて、昔の形を失っていないのが分
かる。真っ先に能因法師を思い出しました。その昔、陸奥守(むつのかみ)としてここに下ってきた人が、ここの松を切
って名取川の橋の杭にされてしまった事などがあったからだろう「松はこのたび跡もなし」と歌に詠んでいる。
代々、あるいは切り、あるいは植え継いだり等したと聞いてはいたが、今はまた千年も保つような形に整っていて本当
に何とも言えない素晴らしい松の様子であった。旅立ちに際し、弟子の挙白が餞別として「是非、武隈の松を見て欲し
い」と言う願いがこもっている 『
武隈の 松見せ申せ 遅桜』 という歌を贈って貰っていたので、それに答えて次の
一句を詠んだ。  

桜より 松は二木を 三月越し
 (江戸を旅立った桜の頃より、待ち焦がれていた武隈の松を三月越しに見ることが出来た)


◆参考地図  竹駒神社Map    二木の松Map
その昔、能因法師が「武隈の松は このたび跡もなし 千歳を経てや 我は来つらん
…2度ここを訪ねたが、前にあった松がなくなってしまった。橋にしたそうな。
と歌った、その松を芭蕉は訪ねたのである。
  
◆竹駒神社
 近くには、日本三大稲荷、「竹駒神社」がある。
元朝参りでは、県内第2位の人出を誇る。鳥居を過ぎて直ぐ、右手に芭蕉の句碑が立っている。
奥の細道碑と竹駒神社の鳥居。 鳥居をくぐって直ぐ、句碑が立っている。
神社の唐門。 竹駒神社の本殿。